はじめに

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妊娠は人生で最も美しい旅のひとつだとよく言われますが、同時に、身体・心・ホルモンにおいて大きな変化が起こる時期でもあります。お腹が大きくなる、肌がつややかになるといった目に見える変化は想像しやすい一方で、あまり語られない副作用のひとつに、静脈瘤(下肢静脈瘤)が突然あらわれたり、悪化したりすることがあります。

脚に太く、ロープのようにボコボコと浮き出るこれらの血管は、重だるさや痛みの原因になり、ときには見た目が気になることもあります。妊娠中に初めて出てくる方もいれば、家族に静脈瘤のある方では、より目立つようになることもあります。そこで、多くの妊婦さんから同じ質問をいただきます。

「妊娠中でも、静脈瘤は安全に治療できますか?」

先進的な血管治療を専門とするソウルのCharm 血管クリニックでも、これは妊娠中の患者さまから最もよく寄せられるご相談のひとつです。ここでは、妊娠で静脈瘤が起こりやすくなる理由、妊娠中に安全な治療・対処法、そして出産後まで待つべきことについて、詳しく見ていきましょう。

妊娠で静脈瘤ができやすくなる理由

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妊娠中に静脈瘤が増えやすくなる理由を理解するには、体内で起きていることを見てみましょう。

  1. 血液量の増加
    妊娠中は、成長する赤ちゃんと胎盤を支えるため、体内の血液量が最大で40~50%増えます。これは胎児の発育に欠かせませんが、とくに脚の静脈に余分な負担(圧力)をかけます。

  2. ホルモンの変化
    子宮が大きく広がれるよう筋肉をゆるめるホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、血管の壁もゆるめます。そのため、静脈が伸びやすくなり、逆流を防ぐ弁がうまく働きにくくなります。

  3. 子宮による圧迫
    子宮が大きくなると、骨盤内の静脈、なかでも下大静脈(下半身から心臓へ血液を戻す太い静脈)を圧迫します。すると“渋滞”のような状態になり、脚の血流が滞って静脈の圧が高くなります。

  4. 遺伝的素因
    妊娠中にお母さんや祖母、姉妹に静脈瘤があった場合、あなたにも起こりやすくなります。遺伝は静脈の壁や弁の強さに大きく関わります。

脚の静脈は、重力に逆らって血液を心臓へ押し上げる“配管”のようなものと考えてください。通常は、小さな逆流防止の弁が働き、血液がスムーズに上へ流れるよう助けています。ところが妊娠中は、その弁にかかる負担が増え、さらに“ポンプ”であるふくらはぎの筋肉もより強い抵抗に逆らって働かなくてはなりません。その結果、血液がたまりやすくなり、静脈が伸びてふくらみ、目立つようになります。

見た目の問題だけだと見過ごされがちですが、妊娠中の静脈瘤は次のような症状を引き起こすことがあります。

  • 脚の重だるさや疲れ(とくに長時間立っていた後)

  • 足首や足のむくみ

  • 脚のうずく痛み、ズキズキする痛み、ヒリヒリ・焼けるような痛み

  • 睡眠を妨げる夜間のこむら返り

  • 静脈瘤のまわりの皮膚のかゆみ

  • まれに血栓によるトラブル(表在性血栓性静脈炎や深部静脈血栓症)

妊娠中に行う治療は安全ですか?

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結論からお伝えします。血管内レーザー焼灼術(EVLA)、高周波(ラジオ波)焼灼術(RFA)、VenaSeal™(医療用接着剤による血管閉鎖術)などの根治的な静脈瘤治療の多くは行いません(妊娠中)。

このように慎重にするのには、いくつかの重要な理由があります。

  • 妊娠中の方に対する研究が限られている
    EVLAやRFAなどの低侵襲治療は一般の方には安全とされていますが、倫理的配慮から妊娠中の方を対象に広く研究されていません。医師は、妊娠中の方と赤ちゃんを未知のリスクにさらさないことを優先します。

  • 症状の変化は一時的なことがある
    多くの場合、静脈瘤は出産後数カ月で自然に改善します。早く治療しすぎると、不要な処置になってしまう可能性があります。

  • 麻酔に関する配慮
    静脈の治療は通常、局所麻酔のみで行いますが、使用する薬剤や処置時の体位が妊娠中には望ましくない場合があります。

とはいえ、「治療しない」ことは「何もできない」という意味ではありません。妊娠中は、保存的治療(手術を伴わない対処)に重点を置き、症状を和らげ、静脈の健康を守りながら、低侵襲治療を安全に行える時期までサポートします。

妊娠中の静脈瘤を安全にケアする方法

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Charm 血管クリニックでは、妊娠中の患者さまに、効果的で安全、かつ負担の少ない保存的な対処法をご案内しています。

1. 弾性ストッキング(着圧ストッキング)

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弾性ストッキング(着圧ストッキング)

段階式弾性ストッキングは、妊娠に伴う静脈瘤への対策として現在も最も信頼できる方法です。足首を最も強く、脚の上にいくほど徐々に弱くやさしい圧をかけることで、血液が心臓へ向かって流れやすくなり、むくみや不快感を和らげます。

特に立ちっぱなしの時間が長い日には、継続して着用するだけでその場で楽になると感じる方が多いです。韓国では、通勤やデスクワークで長時間過ごす方が多く、着圧は大きな助けになります。

2. 生活習慣の見直し

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  • 脚を高くして休む:足を心臓より高くして休む(1日の終わりに15分でも)と、血行がよくなります。

  • 適度に体を動かす:無理のない散歩、スイミング、マタニティヨガは、体の「静脈のポンプ」であるふくらはぎの筋肉をよく働かせます。

  • 長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしを避ける:座り仕事で長時間同じ姿勢になる場合は、足首を曲げ伸ばしし、ストレッチや小休憩を取りましょう。

3. 体重管理と水分補給のバランス

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妊娠中の体重増加は自然なことですが、増えすぎは静脈への不要な負担になります。食物繊維を多く含むバランスのよい食事は便秘を防ぎ、腹圧の上昇による静脈瘤の症状悪化を抑えます。十分な水分補給も、血液の流れをスムーズに保つ助けになります。

4. 睡眠時の姿勢

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睡眠時の姿勢

妊娠中は左向きで寝ることがよく勧められます。この姿勢は下大静脈(下半身から心臓へ血液を戻す太い静脈)への圧迫を減らし、脚からの血液の戻りを助けて、むくみの可能性を下げます。

妊娠中に血管の専門医を受診すべきタイミング

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すべての静脈瘤が緊急の受診を必要とするわけではありませんが、受診が大切な場合があります。次のような症状があるときは医療機関にご相談ください:

  • 片脚の急なむくみ(痛みや熱感を伴う場合は特に注意)

  • 静脈が赤くなって硬く、触れると熱い・痛い

  • 脚のむくみとともに息切れや胸の痛みがある(血栓のサインの可能性があり、緊急対応が必要です)

  • 日常生活に支障をきたすほどの強い痛み

Charm 血管クリニックでは、必要に応じてドプラー超音波検査を用いて、妊娠中の静脈の状態を安全に評価します。この検査は非侵襲的で放射線を使用しないため、妊婦さんにも安全です。

出産後はどうなりますか?

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ご安心ください。多くの方は、産後3~6か月の間に下肢静脈瘤が改善してくるのを実感されます。ホルモンバランスが落ち着き、血液量が減り、子宮が縮むことで、静脈への圧が大きく下がるためです。

ただし、すべての静脈の問題が自然に消えるわけではありません。遺伝的な体質が強い場合や複数回の妊娠・出産を経験された場合、静脈の拡張や症状が残ることがあります。そのような場合には、根治的な治療を検討します。

産後の治療の選択肢

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  • 血管内レーザー焼灼術(EVLA):レーザーのエネルギーで異常な静脈を閉塞させます。

  • 高周波焼灼術(RFA):制御された熱で同様に静脈を閉塞し、不快感が少ない治療です。

  • VenaSeal™ 閉鎖術:熱を用いず、医療用接着剤で静脈を閉鎖します。

これらの治療はいずれも低侵襲で効果が高く、全身麻酔は不要です。Charm 血管クリニックでは、母子の安全を最優先に、通常は授乳が終わってからの実施をおすすめしています。

Charm 血管クリニックの考え方

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正直なところ、多くの妊娠中の女性にとってつらいのは、身体の不快感だけではなく、「この静脈瘤はずっと残るのでは?」「気にしないでいると赤ちゃんに悪いのでは?」という心配です。

私たちのメッセージはシンプルです:ずっと付き合う必要はありません。

妊娠に伴う下肢静脈瘤(脚の血管が浮き出てボコボコする状態)はとても一般的です。妊娠中は保存的なケアを続け、出産後に低侵襲の治療を行うことで、脚の快適さも見た目への自信も取り戻せます。

パク・インス医師と私たちのチームは、この道のりを数えきれないほど多くの女性と共に歩んできました。母体の健康を守り、胎児の安全を確保し、長期的な静脈の健康を見据えた計画——その繊細なバランスを理解しています。先進的な機器、高い成功率、そして患者さま中心の方針により、Charm 血管クリニックは、専門家に任せて大丈夫という安心をお届けします。

重要なポイント

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妊娠中で静脈瘤にお悩みの方へ:

  • EVLAやRFAなどの積極的な治療は、出産と授乳が終わるまで待ちましょう(血管内レーザー治療[EVLA]、ラジオ波焼灼術[RFA])。

  • 今すぐできる安全な症状緩和として、弾性(圧迫)ストッキングの着用、適度に体を動かすこと、足を高く上げること、健康的な生活習慣の工夫があります。

  • 血管の専門医に相談を。急な腫れや痛み、血栓の兆候に気づいたら受診してください。

タイミングが整ったら——出産後数カ月経ってから、または授乳が終わってから——低侵襲治療で静脈の健康を迅速かつ効果的に回復できます。

👉 ソウルで相談先をお探しなら、Charm 血管クリニックの受診をご検討ください。妊娠関連の静脈ケアと先進的な低侵襲治療に精通した当院が、今日の快適さと明日の健康のために、安全でお一人おひとりに合わせた治療計画づくりをお手伝いします。